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6−3まとめとして

 

本報告書を通じて行政機関におけるCALSの導入に関して、特に文書管理に重点を絞った調査分析を行ってきた。行政においては文書の作成・流通・保管が多種多量になされているが、組織を通じて文書管理といった形で文書を系統だてて把握し、それに関わる業務の改善をめざす動きが少ないことは重要な発見であったと思う。

霞が関WANの導入等で、情報技術のハードウェア的な面は整備される方向にあることから、それらを活用した文書管理の改善は期待されるところである。それは業務の効率化のみならず、情報公開の充実・促進や窓口業務の便宜拡張などの国民サービスにつながるものであるからである。その具体的方策の検討に際しては検討対象としてCALSは相応しいものと思われる。

又、本報告書ではCALSの一般的な動向の把握に留まらず、具体的な導入の姿を検討している。それは情報技術を通じて文書管理の改善を考えておられる行政機関の各組織・団体の方々の参考になればと考えてのことである。

情報化の風潮の変遷は急で、昨今はCALSより、インターネット・イントラネットやデータウェアハウス等の言葉が良く聞かれるようになった。ただしCALSの目指すところは個々の新技術に依らない、いわばより効率的なシステムのあり方を探求するものであるといえる。アメリカのECRC(電子商取引リソースセンター)ではCALSの啓蒙方針として「ビジネスの自動化は技術の導入ではなく、文化や考え方の改革によるものである」としている。その意味からすればCALSを検討し、取り入れていくことはこれからも重要であり続けるものである。

 

 

 

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